Inoshishi-mura puerta-1
(ホームページ版)
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井上成美さんを御存じですか?
日本が大戦に突き進もうとした時に
それを食い止めようと努力し左遷され、
敗戦が濃くなった時には中央に呼び戻され
海軍次官として終戦に舵を切り、
戦後は表舞台に出ることを拒み続けた
「最後の海軍大将」と呼ばれる人です。
井上さんは戦時中に海軍兵学校の校長になりました。
当時は、英語を敵国語として、
カレーライスを「辛味入り汁かけ飯」などと言わせていた時代です。
陸軍では、士官学校の試験から英語を外すことになりました。
教頭司会による教官会議が開かれます。「海軍も外そうか」そういう議題です。
英語科教官以外はみんな陸軍にならえです。陸軍追従というよりはもっと切実で、
英語を嫌って秀才がみんな陸軍に行ってしまう、ということを案じたわけです。
「これでよろしいでしょうか」
教頭が校長である井上さんに決済を求めるわけですが、井上さんの考えは違いました。
「兵学校は将校を養成する学校だ。自国語しか話せない海軍士官など、
世界中どこへ行ったって通用せぬ。英語嫌いな秀才は陸軍に行ってもかまわん。
外国語一つもできないような者は海軍士官にはいらない」
さらに、中央では即席で士官をつくれ!と、教育期間を短縮させてきます。
井上さんは、その限られた期間での教育を一般基礎学の方に力を入れ、
兵科の教育なんか艦隊に行ってから習え!と、こんな時代に平気で言い放ちますから、
「国賊!」などと罵られます。
戦後、井上さんを取材に訪れた阿川弘之さんが、
国賊視されつつも自分の方針を貫いた理由を聞かされて驚嘆しています。
井上さんは持論を語りだしますが、阿川さんもそんなことは聞き知っていることなので、
井上さんの話をさえぎって質問したそうです。
「それらの一連の思い切った措置は、
あらかじめ敗戦後の日本というものをお考えになったうえで取られたのでしょうか」
阿川さんは「当時そこまで考えていたわけではない」という返事を予想していました。
しかし、井上さんは「無論そうです」と答えて、こう続けたのです。
「あと二年もすれば、日本がこの戦争に負けるのは決まり切っている。
だけど、公にそんなことを言うわけにはいきません。そんな顔をすることすらできない。
名分のたたぬ勝ち目のない戦だと内心思っていても、勅が下れば軍人は戦うのです。
新しく兵学校を巣立っていく候補生にだって、私の立場ではしっかりやって来いとしか言えない。
軍籍にあるもののつらいところですよ」
さらに、口調を強めて言います。
「それならしかし、負けた後はどうするのか。
とにかくこの少年たちの将来を考えてやらなくちゃならん。
皆でメチャメチャにしてしまった日本の国を復興させるのは彼らなんだ。
その際必要な最小限の基礎教養だけは与えておいてやるのが、せめてもの我々の責務だ、
そう思ったから、下の突き上げも上層部からの非難も無視して敢えてああいうことをやりました」
戦後になってから、自分の弁明のために後付けでいろんなことを言った将官がいたようですが、
井上さんのこの言葉はどうでしょう?
井上さんは、開戦直前でも自分の意見をハッキリと言い、
嫌がる関係各省に開戦の非なるを説いて回ったために左遷されたのです。
私は『井上成美の遺言』という本を書きました。
この本は刷った数が少ないために値が上がってしまっていますので、
興味のある方にはアマゾンの「Kindle版」をお勧めしています。
検索してみてください。
この本の「あとがき」にこんなことを書いています。
今も考え方は変わりません。
本書は、みなさんに『なぜ戦争になったのか』を
考えるきっかけになればと、思って書いたものであり、
これから一緒に考えませんか?という呼びかけのつもりで書きました。
ボクが大東亜戦争に興味を持ったのは、
二〇〇九年の夏に『「東京裁判」を読む』という本を購入してからです。
まず、ボクがびっくりしたのは「A級戦犯」という呼び名についてでした。
みなさんがどんな印象をお持ちか知りませんが、ボクはA、B、Cとランクがあって、
一番重い罪が「A」なんだと思っていました。ところが、A、B、Cの違いは
罪の種類を表したもので、「A種」または「A類」とすべきだ。なんて書いてある。
いろんなハテナが出てきて、読み終わった時に興味を持った三人の名前があります。
米内光政、井上成美、石原莞爾。これは、興味の強い順です。
そして、調べていくうちに、井上成美さんに興味が集中し、本まで書いてしまったのです。
学校で習う日本の歴史とは違う
本当の歴史を、学んでみたいと思いませんか?
教えるなんて偉そうなことは言いません、一緒に勉強しませんか?
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